専門治療のご案内
Information
rTMS療法(反復経頭蓋磁気刺激療法)のご案内
【治療のしくみ】
うつ病は、近年の研究により心の病気ではなく、脳の疾患であることが解明されてきています。
うつ病によって脳本来の機能が損なわれている部位(左背外側前頭前野)を刺激し、機能を回復することでうつ病が改善すると考えられています。
【治療の適応について】
18歳以上の方
- 中等度以上のうつ病の方(躁うつ病のうつ状態の方は適応外)
- 抗うつ薬治療によっても、効果が十分に認められない方
以下を有する方は、治療の適応となりません。
- 人工内耳の方
- 頭内に磁性体クリップがある方(チタン製はOK)
- 心臓ペースメーカーを埋め込んでいる方
※治療適応の判断は、r-TMS専門外来にて、専門医が個別に行います。
【治療期間】
基本的には入院治療にて行います。一回の治療は約40分で、これを週に5回を目安に、4週間〜6週間行います。治療期間中は、心理検査等にて効果を確認して治療を進めていきます。
【治療の有効性】
治療の効果には個人差があります。世界で報告された臨床試験の結果によると、抗うつ薬によって十分な効果が得られない患者さんの3〜4割が安全性の高いrTMS療法によって抗うつ薬と同等の治療効果を示すと言われています。
【治療による副作用】
電気けいれん療法や従来の抗うつ薬治療に比べて、副作用が少なく安全性が高いことが特徴です。頻度の高い副作用は、刺激中の頭皮痛・刺激痛(30%前後)です。ほとんどが、刺激中に限定した副作用で、刺激強度を下げたり、慣れの効果によって軽減されます。重篤な副作用として、けいれん発作(0.1%未満)がありますが、抗うつ薬によるけいれん誘発の危険率(0.1〜0.6%)と比較しても、rTMS療法が特別にけいれん誘発のリスクが高いわけではありません。
【治療機器について】
当院では、NeuroStar TMS装置(Neuronetics社製)を使用し、当院のTMS治療室において、訓練を受けた医師とスタッフによって定められたやり方で行われます。
ヘッドサポートシステム
rTMS治療室
修正型通電療法(m-ECT)
安全に通電療法を施行するために修正型通電法を採用しています。パルス波を用いた通電療法で患者さんが静脈麻酔で3〜4分間眠っている間に額に貼られたシール型の電極を通して数秒間通電し、1回の治療は終了します。これを通常10回前後行うことで病状の改善が得られる治療法です。
【m-ECT(修正型電気けいれん療法)の実績】
当院では、旧盛岡精神病院の開設後から、重篤なうつ病や統合失調症の難治症例に対して、サイン波治療器による電気けいれん療法(有けいれん)を行ってきましたが、新病院に移行して5年後の平成22年8月からは、生体情報モニターを装着した上で、全身麻酔(静脈麻酔)下での筋弛緩剤使用による無けいれん性の電気けいれん療法に切り替え、安全性と不安の軽減を図りました。
更に平成25年9月からは、従来のサイン波治療器からパルス波治療器(サイマトロン)に切り替え、より安全度の高いm-ECT(修正型電気けいれん療法)を導入し、治療効果をあげています。
この10年間の延べ施行件数の平均は、1年間で646.3件、月平均では53.9件でした。
また、外来枠での維持的m-ECTも、4週または2週に1度のペースで、施行しており、難治な統合失調症例や、希死念慮を伴う難治なうつ病症例の症状再熱による再入院の防止に寄与しています。
修正型通電療法(m-ECT)治療室